ディエゴ・ミリートのミラノダービー

 ACミラン vs. インテル戦を前に、MondoFutbol.comがインテルのレジェンドストライカーが活躍したダービー戦について紹介する。

 ミラノ発 - 「これから好きなように、故郷で僕が愛する人たちと生きていく」と、ディエゴ・ミリートが自身の引退試合の会場、ラシン・アベジャネーダのホームスタジアム、グアルディア・インペリアルのスタンドで宣言した。そこは、多くのクラブに愛された男がプロサッカー選手として1歩を踏み出した場所だった。

 エル・プリンシペ - 彼のインテル時代に呼ばれていた名前だ。今週、インテル副会長はハビエル・サネッティ、インテル・フォーエバーをまとめるフランチェスコ・トルドを含めた元インテル選手を招いた引退試合後、ミリートはプロサッカー選手としての人生に終わりを告げた。1人のユニークで比類のないスター選手の時代に幕が下りた。

 ミリートの強みは技術的な部分だけではなかった。彼は努力家で生粋のプロのストライカーであり、今でもサン・シーロで愛されるレジェンドの1人だ。

 ミリートがインテルを離れてからもインテルファンとの絆が消えることはなかった。それどころか、絆は確かなものとなり強くなっていた。日曜日のサン・シーロでは多くのインテルファンがミリートの背番号22のユニフォームを着ている姿を見ることができた。現在でもインテルファンがミリートに対して心からメッセージを送り続けていることは、本当に素晴らしいことだ。

 ミリートがインテルに残した功績の1つは、ACミランとのダービー戦だ。そして、伝統あるミラノダービーが20日(日)に控えていることもあり、エル・プリンシペがACミラン戦で残した記録について振り返りたいと思う。

 ミリートがインテルに加入し初めてミラノダービーを戦ったのは、今から約6年前の2009年8月29日だった。当時ジョゼ・モウリーニョ率いるインテルは1-0でリードしていた。そして、サムエル・エトーがジェンナーロ・ガットゥーゾにボックス内で倒され、PKを獲得した。ミリートはACミランGKマルコ・ストラーリが先に動かし、ボールをゴールネット中央上に叩き込んだ。ミリートは雄叫びをあげ、サン・シーロが歓喜に包まれた。

 この試合でミリートは1ゴール、2アシストと大車輪の活躍でインテル4-0の勝利に大きく貢献した。この勝利でインテルのメンタリティーが変わった。彼らはエル・プリンシペのように冷静で強固なチームへと変貌した。

 ミリートは試合の流れを読める特別な力があった。彼はどの選手よりも1歩先を見て、シンプルなプレーを心がけていた。あの夜、先制点をあげたチアゴ・モッタへのアシストは今でも鮮明に覚えているファンも多いだろう。

 インテル所属時に披露していた彼のプレーは、忘れることができない。ミリートは得点後、うなだれる相手DF陣の後ろで仲間たちと喜んでいた。特にインテル永遠のライバルACミランを相手にゴールを奪い続けた。

 ミリートはゴールマシーンだった。ダービー戦だろうと彼のプレーは変わらなかった。2010年1月24日、ミラノダービー戦で彼は左足を振り抜き、スコアを2-0とした。試合はそのままインテルが勝利し、ジョゼ・モウリーニョ監督にとって忘れられないシーズンの貴重な1勝となった。

 3冠を達成したシーズン、エル・プリンシペは公式戦30ゴールを奪った。徐々に彼のゴールがインテル成功の象徴として認識され始めた。ミリートは大一番の試合に結果を出す男だった。ローマとのコパ・イタリア決勝、シエナでリーグ優勝を決めた試合、バイエルン・ミュンヘンとのチャンピオンズリーグ決勝でもゴールを決めた。

 ミリートの物語はマドリードの夜で終わらない。さらにもう1度、ミラノダービーの歴史の1ページに名前を残す機会が訪れる。

 それは2012年5月6日のことだった。当時アンドレア・ストラマッチョーニがインテルの監督を務めていた。前半14分、ウェズレイ・スナイデルのFKからワルテル・サムエルが折り返し、ミリートがボレーで先制点を決めた。スタジアムに歓喜の瞬間が訪れたが、試合はまだ始まったばかりだった。

 ズラタン・イブラヒモヴィッチが2ゴールを決めインテルが逆転される。しかし、ミリートが52分と78分にPKを決めインテルがスコアを3-2とする。ミリートはその後も果敢に攻め続け、最終的に4-2で勝利した。

 2014年、ミリートは母国のラシンに移籍した。しかし、ミリートの功績はインテルで終わらなかった。ライバルであるインデペンディエンテ戦でミリートが、ゴールを決める活躍もあり2014-15シーズンで優勝を成し遂げる。ミリート加入後、成績不振が続いていたチームが劇的な変貌を遂げアルゼンチンリーグ優勝チームとなった。ラシンが優勝を果たした大きな要因は、ミリートがチームにプロフェッショナルイズム、献身性、ゴールをもたらしたことだった。

 そして20日(日)にミラノダービーがやってくる。ミリートの功績を思い出す良い機会となった。今でも、ミリートはインテルで現役を続けていたかもしれない。しかし、ミリートがミラノダービーで奪ったゴールは後世に語り継がれ、インテルファンの背筋がぞくぞくすような応援は、サン・シーロで永遠に続くだろう。

 


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