マッザーリ監督、カトリック系スポーツ組織“CSI”のイベントに出席

指揮官は同組織の指導者/幹部とのミーティングに参加し、自身の指導経験について語った

[ミラノ] 1944年創設のカトリック系スポーツ組織“CSI・Centro Sportivo Italiano”の指導者/幹部とのミーティングに出席したヴァルテル・マッザーリ監督は、ステージから自身のスポーツ人生を振り返りながら、次のように語った。

「私がサッカーを始めたのは、生まれ故郷のサン・ヴィンチェンツォ(トスカーナ州リヴォルノ県)でした。14歳の時にフィオレンティーナに入ったのですが、背が小さいということでフォッローニカ(トスカーナ州グロッセート県)に修行に出されたのです。選手としてはあまり成功しませんでしたね。身体能力はあったのですが、適切な性格を持っていなかったのです。選手になるためには、ただプレーするだけではダメなのです。別の何かを引き出さないといけないのですよ」

「28歳か29歳の時に、引退しようと思いました。ちょっとしたケガをしたというのもありましてね。当時から監督になりたいと思っていましたよ。魅力的な仕事だと感じていました。選手時代からいろいろな監督から指導のコツを盗んだりしているうちに、現役最後の方で、ある監督から『ピッチでの指揮官になって欲しい』と言われましてね。今の私は自分の真の才能を活かすことができていると思いますし、幸せですよ。本当に好きなことがやれて、自分にうまくできると感じる仕事ができて満足です」

「どんな役割にしても、そこにはしっかりとした人間がいるのです。(イタリア監督協会会長のレンゾ・)ウリヴィエリを見ればそれが明らかですよね。彼は教養と知性がある優れた人です。監督として成功する以前に、奥行きのある人間なのです。我々として意識すべきなのは、何よりも人間性なのです」

「伝記本を出した際に、私の息子に捧げるものだと言いました。彼がまだ6歳の頃、私はすでにシチリアのアチレアーレの監督を務めていたのです。当時の会長のプルヴィレンティは3年間で15人も監督を入れ替えた男でしたし、そういう状況に家族を巻き込む気にはなれなかったのです。でも、子供と離れて暮らすのは辛かったですね。私が伝記本を書いたのは息子に、当時何故父親が傍にいなかったのかを理解してもらうためなのです。弁解しようとしているわけではないですよ。父親は彼息子のためにも働くために、離れて暮らしていたということを分かって欲しかったのです」

 「スポーツでは勝ち負けが大事ですが、一緒に活動することや同じものを共感するという心も大切なのです。それに、チームの中で根本的に大事なのがリスペクトです。人間同士のリスペクトや、規則を尊重する心ですね。これは草サッカーのグラウンドから始まることです。だからこそ、少年を指導する人たちはテクニックだけではなく、そういったものも子供たちに教える能力を持つことが大事なのです」

「外国人が増える中、共通の言語を持つようにすることは大切です。我々は時に通訳を使ったりもしますが、私としては選手と直の関係を持つことに慣れています。すぐに選手のメンタリティや文化の違い、どういう点でギャップがあるのかをすぐに分かろうとするのです。全員が規律や規則を守らないといけないという前提はともかくとして、個々の選手との対話を持つことは非常に意味のあることですね」

「私はボローニャのプリマヴェーラで監督を務めていたこともありますが、年齢によって監督がまるで父親のようになることがあるんですよね。少年たちは家族と過ごす時間より、チームと監督と過ごす時間の方が多かったりするからです。監督は大事な価値観を少年たちに教えるという、大きな責任を持つわけです。例えば、チームメートに対するリスペクトを教えたりとかでね。試合で選手交代を命じる時、ベンチに下げられた選手は年齢に問わず納得しないわけですが、例えば監督に対して不服を露わにする場合、それは私にではなくて交代で入る選手に対する侮辱のようなものなのですよ。これに気が付かない選手もいますが、とにかくチーム内でのリスペクトの意識というものが非常に大事なのです。日常的に、言うこと成すことでリスペクトの意識を立証しないといけないのです」

「私はこれまでのキャリアでミスも犯しましたよ。ただ、マスコミに対して言うことと、自分自身に言うことは違うというのはあります。例えば、現在助監督を務めるフルスタルーピとある時、試合中に揉めたことがありました。チームは良いサッカーをしていたのですが、ゴールが決められなくて。フォワードを1人下げてミッドフィールダーを1人投入することに決めたのです。そうしたら、チームのプレーは悪化しましてね。フルスタルーピはそれでも采配が正しかったと言い張ったので、私は『その調子ではお前はいつまでも監督になれないぞ』と怒鳴ったのです。本当は、『我々の采配は間違っていた』と素直に認めれば良かったわけですよ。2人で決めたことだったのでね」

「セリエC2のチームで監督をやっていた頃の話ですが、会長が練習場を訪問する時、私は主力以外のトレーニングに気を配らないと選手から指摘されたことがありました。私はすぐに誤って、しかも指摘してくれてありがとうと言ったのです。会長には、練習中に来ないでくれと言いました。来ても、私は挨拶できないからってね。自分が間違った場合は、すぐに認めることが大事です。自分が間違っているのに意地を張ると、チームから信頼されなくなるのが当然なのです」

最後に、マッザーリ監督は今回の招聘に対する感謝の意を表した。「私は素朴な人間ですし、人々と接するのはいつだって好きなのです。今日はこの席に招いてくれてありがとうございます。こうやって落ち着いて話ができるというのは、私自身を成長させてくれることなのです」


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