そしてジョゼがやって来た

インテルの歴史を振り返って:忘れられない瞬間、人物、出来事

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ジョゼ・モウリーニョがインテルの監督として初めてカメラの前に現れたのは、2008年6月3日の午前中だった。日に焼けてエレガントな風情を持ったモウリーニョはサッカー監督の世界で唯一、ピッチでの手腕だけではなくてファッション性の面でもニュースになる指揮官であることがすぐに明らかになった。発表会見でマスコミの注目を浴びたのはさりげなく緩めたネクタイだけではなく、その独特な表現だった。メルカートに関する誘導尋問を向けられて『私は“ピルラ”(ミラノ方言で“愚か者”の意味)ではない』と発言したことは大反響を呼び、その後もポルトガル訛りと奇想天外な言葉の組み合わせが特徴のモウリーニョの言い回しはイタリアで流行語となって、政界で使われることすらあった。
モウリーニョがインテルの指揮官として世間とファンの前に現れたその日は変化の始まりだった。そこから2シーズンの間、誇りの完璧主義に基づいてマニアックと言えるほどのこだわりを見せ、ネラッズーリに世界最強のチームであるという自信を持たせたのだ。2008年8月の最初のタイトル、ローマ相手のスーパーカップ優勝から2010年5月のチャンピオンズリーグ制覇まで、モウリーニョは休むことを知らずにインテルのために尽くした。そして、すべてのインテリスタの心にいつまでも残る存在となったのである。


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