『カモン! ポール・インス、カモン!』

インテルの歴史を振り返って:忘れられない瞬間、人物、出来事

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ポール・エマーソン・インスがインテルに入団したのは1995年だった。一緒に移籍するはずのエリック・カントナはマンチェスター・ユナイテッド残留を決め、インスはひとりでセリエAにやってきた。イングランド代表のキャプテンを務める名選手とは言え、黒人はクルヴァ・ノルドから好感を抱かれないという意見もあったため、彼を獲得するのはある種のチャレンジでもあった。
インスは偏見を覆すかのように、数試合ですっかりとクルヴァに愛されるヒーローになった。ゴール裏から歌い上げられるチャント『カモン! ポール・インス、カモン!』は毎試合、サン・シーロに鳴り響いていた。
権威を持って中盤を支配することから“ガバナー”すなわち“総裁”というニックネームで知られていたポール・インスは、ロンドン郊外のイルフォードで生まれ育ち、困難の少年時代を送った末、サッカーにたどり着いたのだった。本人曰く、フットボールのおかげで生きることの価値を発見したという。インテルでは短い期間しかプレーしなかったが、彼の記憶はインテリスタの心に焼き付いている。

そんなポール・インスは現在、イングランドのブラックプールの監督を務めている。インテル時代にもたまに練習に連れていた息子のトム・インスは1992年生まれのU−21イングランド代表MFであり、父の下でブラックプールでプレーしている。


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