ヨーロッパの果て、カザンより

ルビーを意味するチームの名前に表れている通り輝かしいこの町はロシアとアジア、過去と未来が混合する地

[カザン] この地がヨーロッパの果てであることは、町中を散策するだけで伝わってくる。地元を象徴するサッカーチームが宝石の名前(『ルビン』はルビーの意味)を持つこの町では、ソ連時代の建設物と中東のモスクが混合しており、独特の風景が見られる。誰かが緑がかった建物を指さし、そこにはかつてKGB(ソ連国家保安委員会)の支部があったと囁く。当時を体験している現地の人は今でも“カーゲーべー”の話をするときは思わず小声になるみたいだが、金髪とアジア系の人々が混ざり合う現在のカザン中心街の雰囲気は一切、そういった過去の匂いを感じさせない。大学や文化活動、音楽に溢れるこの町の若者たちは、軽やかな足取りで未来へ向かっていっているのだ。

カザンと言えば、インテリスタの頭に思い浮かぶのが2009年の遠征だろう。モウリーニョはタタールスタン共和国ナンバーワンのクラブ、ルビンを警戒していた。前日練習のためにチームが夕暮れどきにスタジアムを訪れたとき、スタンドの向こうにモスクの塔がそびえ立って見えるのが印象的だった。あのとき、インテルは苦戦を強いられたのだったが、今のルビン・カザンは当時とあまり変わっていない。ルビンがあのシーズンのチャンピオンズリーグに出場していたのは、2008年にロシアリーグ優勝を果たしたからだった。以前はモスクワのクラブが圧倒的な力でリーグを牛耳っていたところ、サンクトペテルブルクのゼニトとルビン・カザンが出現してその流れを変えたのである。前回のチャンピオンズリーグ戦は9月末だったが、今のこの時期はすでに気温が零下のカザン。今夜の“チェントラルニー・スタディオン”は冷え込むことだろう。

スザンナ・ヴェルメリンゲル


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