エムレ・ベロゾール、ボスポラスからの魔法使い

 歴史に残るインテル対ラツィオ戦・・・MondoFutbol.comが2002年のスタディオ・オリンピコでの試合を振り返る。

 ミラノ発 - あの日は2002年12月7日だった。冷たい夜がローマのスタディオ・オリンピコを包んでいた。そして、その時スコアボードが表示していた数字は、インテルにとっては非常に目に痛いものだった。「37分、ラツィオ 3-0 インテル」

 言うまでもなく、この試合はインテルにとって厳しいスタートを切った。まさかあのような試合展開を迎えるとは誰も思っていなかった。単純に奇跡が起きなければそんなことはありえない。しかし、エムレ・ベロゾールがその奇跡を起こした。

 溢れるファイティングスピリットと巧みな技術に恵まれたエムレは、イスタンブール出身の選手で、4シーズンをインテルで過ごした。彼は、トルコの混沌としたメシディエコイ地区で育ち、そこで、後に彼の人生を変えることになるゲームの基本を学んだのだ。

 エムレは ガラタサライのユースを猛スピードで駆け上がり、トップチームでデビューを果たすと、トルコのクラブにとって史上最高の偉業達成に貢献することになる。1999-2000シーズン、UEFAカップの優勝メンバーの一員となったのだ。

 過去ラツィオに所属していたエルナン・クレスポも、オリンピコでのインテルの復活劇の一翼を担ったのは確かだが、翌朝の新聞一面に名前が乗っていたのはエムレだった。

 後半23分、エムレは自陣でボールを受けると、重心の低さを活かして素早くターン。ラツィオの最終ラインまでドリブルで持ち上がりバイタルエリアまで到達。GKアンジェロ・ペルッツィが少し前に出ているのを確認すると、素早い判断でキーパーの頭上を越えるループシュートを放ち、ネットを揺らした。

 そしてその8分後、エムレはもう一度観衆を湧かせる。リスタートから素早くボールを受け、中央で相手をかわし前を向く。すると、まだ距離がある位置から右足一閃、豪快にミドルシュートをゴール右隅に流し込んだ。トルコが輩出した偉大なタレントが、何年間も語り継がれる栄光の瞬間を掴んだ。

 インテルファンは、この印象的なオリンピコの夜を忘れることはないだろう。魅惑のループシュート、輝かしい同点弾。若きタレントが光放たれたその試合は、熱いインテルサポーターの心に深く刻まれた。


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