[ブカレスト] 現在の人口が約300万人のルーマニアの首都ブカレストは、社会主義時代に建てられた大衆住宅の灰色がトレードマークになっている。当時、チャウシェスク大統領は歴史的な建物を取り壊して社会主義に基づいた都市計画を積極的に進めると同時に、人口の大幅な増加を目指した。避妊や中絶が禁止とされ、25歳以上で子供のいない市民に対する高額な税金や、大人数家族に対する特別手当てが導入され、出生数は計画通りに伸びた。しかし、子供が増えても生計を立てられない家族が多く、やむおえず児童が捨てられるケースが多発するようになった。90年代には、親から捨てられた少年少女、および家出したか孤児院から逃げ出した子供たちが犯罪やドラッグに手を出しながらストリートで生活するようになった。冬の寒さをしのぐこともあって、地下の下水道で暮らす子供も多く、現在ブカレストだけで2000人以上の“ストリートチルドレン”がいるとされる。
この状況の中、1996年にアルジェリア系フランス人の道化師、ミルー・ウキリが立ち上げた慈善財団“Parada”がストリートチルドレンに与えている支援は大きい。毎夜、財団のボランティアがブカレスト市内を廻って約400人に食べ物や衣服、毛布などを配っており、昼間に開かれるデーセンターには約40人の少年少女が通っている。ここでは、大道芸を学ぶことをきっかけとして、再び学校に通い始めるなどでストリートチルドレンの社会復帰プログラムが進められている。
1年半前から、 インテルキャンパスもブカレストのストリートチルドレンをサポートするようになった。“Parada”財団とのコラボレーションの結果、現在は14歳未満の子供約60名がサッカー活動に参加している。中には、普段は地下道で暮らしているため、インテルのユニフォームに着替える前にシャワーを浴びたがる子もいれば、夜も黒と青のユニを着たまま寝るという子もいる。脱いでしまえば、睡眠中に盗まれる恐れがあるからだそうだ。“Parada”財団とインテルキャンパスの支援によって、この子供たちの日常が少しでも明るくなることが願いである。
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