マッザーリ:「不可能なことは存在しない」

指揮官は“Sky”のロングインタビューで「毎試合どんな対戦相手でも苦しませるインテルにしたい」と語った

[ピンツォーロ] “Sky Sport 1”のロングインタビューに応じたヴァルテル・マッザーリ監督は、様々なテーマについて語った。

インテルの環境は想像していた通りですか?

「インテルが偉大な歴史を持った、組織力に富んだクラブだということは知っていましたが、就任してから今まで想像以上に素晴らしい印象を受けました。会長を始めとして、全員のフロント、全てのスタッフが最高の歓迎をしてくれました。しかし、一番の驚きはファンです。以前にも言ったことですが、ナポリで指揮を執った4年間は全ての対戦相手を苦しめるようにして、当然インテルに対してもそうしてきたわけです。私がインテル相手に散々の激戦を繰り広げてきたにも関わらず、インテリスタがこれだけ暖かく迎えてくれたことには驚きましたね」

マッザーリ・インテルが見られるのはいつになりそうですか?

「時間との闘いですね。現時点で、いつになるか正確に答えることはできません。私の経験からすると、メカニズムが自動的に機能するまでは少し時間が必要ですし、この時期のフレンドリーマッチでそういったものが見られることは期待していません。もちろん、選手たちが驚異的な反応を示して私が求めることをすぐにピッチで展開してくれるのなら、それはそれで大喜びですよ。でも、繰り返しますが、少々の時間が必要です」

監督は適切なタイミングでビッグクラブに就任したと感じていますか?それとも、これまで見せてきた結果からして、もっと早くステップアップすることを期待していたのでしょうか?

「私は常に前を見つめているので、そういった疑問はありません。今ビッグクラブに声をかけれたのは、それが正しいことだったからです。満足ですし、私みたいな監督にとって一番嬉しいのは、ピッチ上で示した実績が評価されてこういったクラブに来たことです。与えられる地位に値することを立証できるのが大事です。私は低いレベルから始まって、その都度出した結果が認められて1ステップごと高いところへ上がってきたわけですが、この自分が歩んできた道を誇りを感じますね」

意地悪な人は、インテルの昨シーズンを下回る結果は出せないのでマッザーリは有利な立場だ、と言うかも知れませんが。

「昨シーズンから来る唯一の有利な点は、昨季の屈辱を味わった選手たちのモチベーションが最大に高まっているということだと思います。インテルの伝統と栄光に相応しくないシーズンを送ったことに対してリベンジを果たしたい気持ちでいっぱいなのです。選手たちは本当にやる気満々ですよ。彼らがまず誰よりも、昨シーズンの出来具合に不満なのです」

インテルのベンチを任された時、マッシモ・モラッティ会長には何て言われたのですか?

「会長からは『あなたを呼んだのは、あなたのような監督が必要だからです』と言われました。私の12年間のキャリアを見れば、クラブの会長とか関係者は私の仕事のやり方が分かるのです。そうやって評価されたことは、すごくやる気を掻き立ててくれました。マスコミの皆さんも知っている通り、私は今シーズン、刺激を感じるプロジェクトのオファーがなければ数ヶ月間、浪人してもいいと思っていたくらいです。会長の言葉を耳にした時、興奮して鳥肌が立ちましたよ。これこそ、モラッティ会長のような偉大な会長から言って欲しいことだったのです」

ハビエル・サネッティとエステバン・カンビアッソのような選手2名が、インテルは意志の強い監督を必要としていたと発言しました。全てのタイトルを勝ち取った名選手がいるチームが、なぜそのような人物を求めていたのでしょうか?

「それは私が言うことではありません。私は、自分のやり方は独裁的ではないものの、それなりの権威を示していると思います。選手たちにはある程度の自由を与えますが、最初から私は各自の役割、立場というものを重要に思うことを理解してもらいます。役割の尊重、これが真っ先に来るものです。彼ら(サネッティとカンビアッソ)は子供ではなくて、理にかなったことをやるカンピオーネたちです。彼らの発言については、彼らに聞いてください。私が放ったものではない発言について口を出すのはやりたくないことです」

最初のこの10日間の練習で、特にサプライズの選手はいますか?

「チーム全体ですね。外部から見ている時は、マスコミのあなた方の報道とかもあって、何らかの問題があるのだろうと思い込んでいました。ところが逆に、真面目でやる気満々で、モチベーションに満ちた選手たちばかりではないですか。ハードワークを決して恐れないチームで、私とフィジカルコーチが設定したこの一週間の厳しいトレーニングに堂々と臨んでいましたよ。だから、チーム全体がサプライズでしたね。監督にとって、これは大事なことです」

ネガティブなシーズンの雪辱を果たしたいチームの中で、特に活躍を期待している選手とかいますか?

「私を知っている者、そして、私の練習法を見ている人は、私が何も決めつけることなく、360度で物事を見ながらやるということを知っているはずです。私が選手一人一人と面と向かって話す時、それがサネッティ、カンビアッソ、ミリートみたいに全てのタイトルを手にした選手であっても『まだ向上できる部分があることを受け入れろ』ということを必ず言うのです。彼らにさえそう言うわけですから、他の選手にはもっと強く言いますよ。これは昔から私が持っている考えで、他のクラブでやったみたいに、ここインテルでも根付かせるようにしたいですね」

サイドプレーヤーが不足している状況でエセキエル・スケロットがサマーキャンプのメンバーを外れて、ここでテストされるまでにも至らなかったのはなぜですか?

「それは、戦力を良く考慮して決められたことです。選手の人数や、各ポジションに誰を入れるとか、私のやり方に基づいてそれが最適の選択だという結論になったのです。とは言え、彼はセリエAで良い選手であることを示しているし、決してその真価を否定するわけではありません」

ナポリを後にした時、イングランドのマネージャー風にもっと行動の自由を与えられるクラブを求めていたのでしょうか?

「これは誇りに感じていることですが、私はこれまでやってきた全てのクラブで、全ての会長から、今モラッティ会長が与えてくれるのと同じ自由を与えられてきました。私が契約にサインする時、クラブは私に何を要求するか述べるわけですが、私が呼ばれるのはその前のシーズンで良い結果を出しているからであって、契約に関して私にも権限があるのです。すでに行動と実績で立証すべきことを立証しているわけですからね。会長さんたちはみんな、マッザーリと契約を結ぶことは、マッザーリ流のやり方を受け入れることだと承知してくれるのです。私は常に監督がやるべきことを忠実にやってきました。それだけです。これまでやらなかったようにこれからも、監督の管轄を超えるようなことは一切やるつもりはないです」

モラッティ会長から、彼の下でこれまでやってきた監督でスクデットを獲得したのは全員、苗字が『M』で始まるということを言われましたか?

「新聞で読みましたよ。正直言わせてもらいますと、こういったジンクスみたいな話が面白いのは分かりますが、私はいつだって努力と行動に頼ってきました。私が良く口にする言葉が、サッカーは精密科学ではないものの、科学的知識を必要としているということです。科学的知識があればあるほど、良いパフォーマンスを見せて結果を出せる可能性が増えるのです。これは、私が昔から信じていることです。もちろん、物事がうまくいけばいろいろなニュアンスを楽しむようになるわけですが、あくまでも二次的なものです」

ユヴェントスが警戒すべきインテルの特徴を3つ挙げるとすると?

「選手陣にはすでに伝えてあるし、これは私が監督を務めた全てのクラブでも言ってきたことですが、我々は毎試合、どんな対戦相手でも手こずらすチームにならないといけないのです。従って、ユヴェントスやその他の強豪に対しても同じです」

カルリートス・テベスが加わって、ユーヴェがますます有利になったのでしょうか?

「今シーズンはフィオレンティーナとラツィオを含めて少なくとも6、7チームがカンピオナート開幕時点で限りなく近い可能性を持ってスタートを切るのです。ペーパー上での対決ではなくて、ピッチでいかに調整していけるか、いかにポテンシャルを発揮させることができるか否かが決め手になるでしょう。ユヴェントス以外に、ここ4年間の結果から来る経済面での可能性を持ったナポリが、他クラブに比べてプラスアルファを示すと思います。ユーヴェと並んでね」

ということは、マッザーリ監督率いるインテルがどういう結果を出せるか現時点で予想するのは不可能ということですね?

「不可能という言葉は私にとって存在しない言葉です。もちろん、大前提として普通のサッカーのパラメーターというものがあります。メルカートの動きや戦力の充実加減、あと前シーズンの結果とかね。インテルは昨季、9位でシーズンを終えてます。我々はそこから再出発するわけです。でも、リーグがスタートすれば新たな要素が加わって、違いが生まれることだってあるのです。6位や5位レベルとされていたチームが驚異的なパフォーマンスを見せてもっと先を行ったりとかね。こういう展開になることが、開幕前の分析でペーパー上、有利とされているクラブ以外のチームが抱く希望です。全体的に言うと、マッザーリのチームを観る者、特に観客に関しては、誰もが積極的で面白いサッカーだと言っています。なんと、バイエルンやバルセローナなどの関心を呼んでイタリア国内だけではなくてヨーロッパレベルでも話題になったくらいです。まあ、とにかく何と言っても結果を待ちましょう。結果が大事ですからね」

あなたのチームのフォワードがゴールを量産するのはどうしてですか?

「それは私のチームは下手だからですよ。下手なサッカーしかできないからでしょうね、きっと...(笑)」

新シーズンはカンピオナート1本に集中することになるのですが、ミリートとパラシオが好調の場合は、イカルディとベルフォディルをどうやって成長させるつもりですか?

「成長については、様々なことが言えますからね。若手の成長というものは、チーム全体の成長と並行して見ていかないといけません。若手をどれだけプレーさせるか、チームがどれだけ上位に行くこだわりがあるか、とかね」

あなたが監督として出会った中で最も頭の良い選手だと褒めたハムシクは、敵としてのマッザーリと対戦するのは決して簡単ではないだろうと発言しました。

「私は高いプロ意識を持って真剣に監督業に励んでいると思っていますが、そういった男にとってハムシクのその発言は本当に嬉しいですね。私は彼のことを選手として人間として良く知っています。彼のようなカンピオーネがそう言ってくれるのは、タイトルを勝ち取ったくらいの嬉しさですよ。私についてハムシクと同じようなことを言う選手は他にも大勢いると思うのですが、これは誇りに感じることであって、大きなモチベーションになります」

コヴァチッチがハムシクのような名選手になるには、どうすればいいのでしょうか?

「派手な見出し、ファンを盛り上げるような話題を求めているんだったら、私はそれに適切な発言はできませんね。私に言えるのは、この若手はずば抜けた素質の持ち主ですが、ハムシクのような偉大なカンピオーネになるには、チームに貢献できる選手であること、チームのためにプレーする選手であることを少しずつ立証していくべきであるということです。それに、MFがステップアップするには、ある程度のゴール数を保証することも必要です。コヴァチッチは我々みんなの期待がかかっている選手です。でも、練習をたくさん積み重ねていろいろなことを理解しなくてはいけません。私には、そういったことを説明してやる任務があります」

マッザーリとカバーニが抜けたナポリがどういう戦いを見せるか、好奇心はありますか?

「今の私はインテルの監督なので頭を切り換えたというのはありますが、何よりもナポリの人々のためにチームが良い結果を出せることを願っています。ナポリの人々とは、本当に素晴らしい関係を持たせてもらいました。お互いの信頼があったのです。ファンの姿勢で気に入らないことがある場合は、TVカメラやマイクを通じて直に言ったものです。彼らと一緒に、この4年間で最高の結果が出せたのです。私が後にしたナポリは、現在ヨーロッパで最も裕福なクラブのひとつだと思いますよ。ピッチでの結果だけではなくて、経済面でも大きな成果を出したのです。従って、私やカバーニがいなくなった今でも、ナポリは十分うまくやっていく土台はあるのです。いずれにせよ、カバーニはナポリに入団して大きくステップアップしたと言えます。これは本人も把握していて、感謝していると思いますよ。もちろん、本人の手柄ですが、一部は私やスタッフ、そしてトッププレーヤーとしての自覚を持たせてやったチームのおかげでもあると思います」

モラッティ会長はトッププレーヤーを獲得する可能性もあると発言しましたが、監督にとってトッププレーヤーとは?

「正直言って、これについては会長とは話していません。会長も知っている通り、私はまず現在の戦力、現時点でのチームをじっくりチェックしたいので。昨日、フレンドリーマッチの後にフロントと会長に最初の感想をレポートしました。この感じで様子を見続けて、さらなる補強を施す必要があるのかどうかクラブと検討する予定です」

インテルファンへ何を約束しますか?

「私は約束をしたがるタイプではまったくありません。私はこの12年間、言葉の代わりに行動と実績で表現してきました。言葉は、喋りたい人に任せます」





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