[アッピアーノ・ジェンティーレ] アンドレア・ストラマッチョーニ監督は“Sportmediaset”のロングインタビューに応じ、様々なテーマについて語った。 指揮官の一問一答は下記の通り。
ストラマッチョーニ監督、終わろうとしているこの2012年はあなたにとって信じられないほど充実した年だったのではないでしょうか?
「ええ、個人レベルで言うと確かにそうですね。2012年1月1日時点での自分のことを思い浮かべると、その後どれだけたくさんの夢が叶ったのかが実感できます。今の私はインテルの監督であることに最高の誇りを感じていますが、この夢が実現する前に自分がどこで何をしてきたのかを絶対忘れたくないという気持ちがあります。この2012年は、とにかく私の人生が大きく変わった年でした」
去年、こういう展開になるだろうと言われたとしたら、信じていたでしょうか?
「信じなかったでしょうね。そもそも、もし私自身が決める立場だったとしたら、今年の4月の時点で無名の若手監督にインテルのトップチームを任せるということなんてしなかったでしょう。正直言って、これは本当にどんな楽観的な夢よりすごいことだと思ってますよ。これまで積んできた努力が思いがけない最高の形で報われた感じです。このような機会を与えてくれたモラッティ会長とインテルに心から感謝しています」
これまでの監督としての出来具合を自分で採点するとしたら?
「監督の仕事だけを採点するのは難しいと思いますね。その監督が率いるチームの成績と切り離せないものですから。私はこれまでのチームには(10点中)7点を付けたいと思います。この5ヶ月間で、インテルは偉大なプロジェクトをスタートさせて見せていますからね。今夏、会長はチームを大きく変えました。監督とクラブ幹部の了解を得てのことですが、選手陣やスタッフを大きく変えましたからね。今は、クラブ全体にとって大事な時期なのです。ピッチでの結果が一番目立つわけですが、この5ヶ月間で舞台裏にも色々と成果が見えてきていて、クラブ内の調和がとても良くなって何もかもスムーズに動いているというのがあるのです。もちろん、ピッチでの良い結果によって雰囲気がますます和むのは言うまでもありません。とにかく、全体的に見て私は今のインテルに7点を与えますね。でも、もっと高い点でも決しておかしくないでしょう」
さらに向上するために必要なものは何でしょうか?コンスタントに結果を出せることですか?
「間違いなくそれですね。選手やスタッフと常に話していることがまさにそれです。パフォーマンスの面では、今シーズン序盤でかなり高いレベルに達することができたと思うのですが、満足できない点はそのパフォーマンスをコンスタントに見せられていないことです」
インテルの監督を務めるというのは、他チームで監督を務めるより難しいことなのでしょうか? ここでは勝っても批判されることもあるみたいですからね。
「私は何と言ってもルーキーなので、なるべく勉強することを心がけて建設的な批判には積極的に耳を傾けるようにしています。経験が浅いのと私の性格からして、ときには真実に基づいていない悪質な批判を気にしてしまうこともありますが、建設的な批判というのはゲームの一環だし、それを受け入れるのは成長するために重要なことだと思います。ただ、イタリアでは結果が重視されすぎて、ゲームの内容が評価されないこともあるというのが問題ですよね。私が思うには、プレーの内容が悪くて勝つこともあれば、偉大な試合をやって見せたのに負けてしまうことだってあるわけですから」
トップチーム監督に就任して最も嬉しかった瞬間は?初日にロッカールームに足を踏み入れたときですか?
「いや、それはむしろ最も難しい瞬間でしたね。最も嬉しかったのは、モラッティ会長に『他の者が何と言おうと私には関係ない。あなたがこれからインテルの新監督だ』と言われたときでした。
最も辛かったとき、一番ハードに感じたときは?
「私は常に前向きな姿勢を保つようにするタイプです。これまでの人生で、どんなに辛いときでも良い方向へ進むための糸口を見出すようにしてきました。今のところ、そんなに厳しい瞬間には直面していないと思いますね。まあ、技術面からすれば、ホームでシエナに負けたときは、チームをしっかりとコントロールすることができていなかったら大変なことになってもおかしくなかったと思います。しかし、あの時も言ったように、あの敗戦は逆に役に立つターニングポイントになったのです。あの時点で我々は方針を変えて、2位に浮上するまでの連勝を達成することができたのです」
会長との関係については?最初からすごく気が合う感じでしたが。
「最初からと言っても、何の根拠もなしにというわけではないですよ。会長は以前からプリマヴェーラの試合を見て、チームのプレーと選手の管理法を評価してくれていたのです。そして、初めて顔を合わせて話したのが、あの2時間近く続いた会談のときでした。あのときサッカーの話で盛り上がったのですが、私は正直言ってそれまで知らなかったことを把握したのです。それは、モラッティ会長がサッカーの知識が深くて、しっかりと理にかなったサッカー論を持っているということでした。そこから素晴らしい関係が芽生えて、現在に至るまで日増しに深くなっていったのです。非常にフランクで率直な関係ですよ」
新しい年になって、モラッティ会長にプレゼントしたいものはありますか?
「何をプレゼントしたいかについて考えは確かにありますが、それは私の胸中にしまっておきたいですね。会長はそれが何なのかは知っていますが。いずれにせよ、最も大きなプレゼントは全体的に会長の期待を裏切らないということでしょう。これを実現させる方法はただひとつで、それは彼のため、インテルのために毎日25時間働くことです。会長が私に賭けたことが正解だったということを立証することですね。あと、それとは別に贈りたいプレゼントはありますが、先ほども言ったように、それが何かと公言するつもりはありません」
逆に、チームを強化するための会長からのプレゼントを期待しているというのはありますか?
「会長とは本当に率直な関係を持たせてもらっているので、あなた方マスコミの仕事をリスペクトしていながらも、そういったことをインタビューでほのめかすなんてことは一切しません。そういった行為は嫌ですね。会長は何もかも知っていますよ。すべて把握しています。我々は偉大なインテルを作り上げるというプロジェクトをスタートさせて、たったの5ヶ月が経過した時点なのです。トップにのし上がるまで5年かかったチームもいれば、もっと短い期間で目標を達成したチームもいるわけですが、我々はひたすら計画を進めているところです。もちろん、インテルである以上すぐに勝ちたいという気持ちはあります。とにかく、どうやってチームを向上させることができるか検討し続けていくつもりです」
インテルにとって不利なレフェリングが最近増えているように思えますが、これについて感想は?
「最近、ジャッジに関してツキがないんだと思っていますね。レフェリーの立場になってみるのも大事です。すごい速さで起こったことを一瞬の判断で白か黒か決めなくてはいけないのです。客観的に見て、どちからと言い切れない状況も多いわけですしね。最近は我々にとってアンラッキーなケースが多かったですけど、シーズン序盤はラッキーなジャッジもありました。私がこうやって“ツキ”の問題として話しているのは、別に皮肉でも何でもないですよ。それが真実なのです。エリア内で接触があって、それがファウルかどうか明らかではない場合でも、レフェリーはすかさず判定を下さないといけないのです。我々はテレビ映像をスローモーションで50回繰り返して見て、PKだったPKじゃなかった、レッドカードだったレッドカードじゃなかった、と言えるわけですけどね。とにかく、最近はアンラッキーなジャッジが続きましたが、そのうちにツキが戻ることだと信じています」
スクデットに向けて、ユヴェントスは無敵なのでしょうか?
「ユヴェントスは1年目に強固な土台を作って、2年目は前年に始めたことをより完成させたのだと思います。セリエAで最もコンスタントに結果を出しているチームですね。倒せないチームではないことは立証済みです。ユーヴェは追撃するチームにはないコンスタントな戦いを見せているのです。同時に、ユヴェントスを除けばイタリアリーグは実力伯仲の面白い戦いを見せていると思いますね。インテルがシエナに負けることだってあるし、ナポリがボローニャに敗れることだってあるわけです。本当に各チームの力が拮抗しているリーグなのです」
アントニオ・カッサーノがこれだけ決定的な仕事をしてくれると想像していましたか?彼との友情関係について語っていただけますか?
「友情関係というのはちょっと大袈裟かも知れませんけど、彼とはインテルに移籍する前からフランクな関係でした。私と彼は、2人ともゼロから這い上がってきたという共通点があります。別に自分たちのルーツを貶すつもりはないですが、2人ともそういった出身なだけに歯に衣を着せずにダイレクトに物事を言うタイプなのです。それもあって、お互いに分かり合えたというのがあると思いますね。いずれにせよ、彼のピッチでの才能は誰にも否定できるものではありません。結婚して奥さんと素晴らしい関係を築けたこと、そして長男のクリストファー君に次ぐ第2子が生まれてくることが、アントニオをさらに成熟させたのでしょう。私は彼を絶対手放したくありませんよ。インテルに所属している数々のカンピオーネたちと並んで、アントニオは貴重な戦力であることを十分立証していると思います」
いい意味でサプライズだった選手と、もっと努力して欲しい選手の名前を挙げるとしたら?
「ブレークする準備ができている選手はたくさんいますよ。私に言わせれば非常に有能な若手を数人デビューさせていますからね。中でもあえて名前を挙げるとしたら、まずプリマヴェーラでデビューを果たしたフアン・ジェズスです。チェゼーナとの試合の際にプリマヴェーラチームに合流して、あのときはトップコンディションではなかったにも関わらずフル出場しました。私は試合前に彼と長く話して、試合中に彼のポテンシャルを確認することができたのです。あと、アンドレア・ラノッキアがブレークしたのは個人的にとても喜ばしいことですね。私がトップチームに上がったとき、彼に言ったことは『アンドレア、君は間違いなく良い選手だ。練習にもしっかりと打ち込んでいる。しかし、まだスタメンとしてプレーする準備はできていないと思う』ということでした。それが今、同じ監督の下で、完全に変身して大活躍しているのです。ブランカTDとアウシリオSDが彼に自信を付けさせるようにしたというのもあって、今のラノッキアはモティベーションが最高に高いし、色々とオファーがあったのもすべて断ってインテルとイタリアサッカーの欠かせない存在になったのです。私が非常に満足している選手として名前を挙げたい3人目は、フレディ・グアリンです。彼は重要な将来性を持った貴重な人材です。ほかにも称賛したい選手はまだまだいますが、この3人が最も象徴的な存在ですね。最も輝いている若手と、すでにここに所属していながらもまだブレークしていなかった選手と、将来に向けてのホープ、ですね」
それでは、もっと力を発揮して欲しい選手は?2013年に真価を引き出して欲しい選手は誰ですか?
「これに答えるのは簡単ではないですね。あくまでも真価を立証してもらいたいということではないのですが、大いなるポテンシャルを持っているリカルド・アルバレスがもう少しだけのツキに助けられてその才能を発揮して欲しいというのはあります。彼はまだ、その実力に相応しい評価をファンからも受けていませんしね。私は彼のやる気と努力を買っていますが、残念ながらフィジカル問題が相次いで思い通りに練習に集中することができなかったのです。これまでは本当に運に恵まれなくて、コンスタントにプレーすることができていないのですが、インテルは彼のことを信頼しています。最近、代表にも招集されましたしね。そんじょそこらの代表ではなくて世界トップレベルのアルゼンチン代表ですから、それなりの才能がなければ招集されるわけないのです。私はとにかく、リッキーに大いに期待しています。運の流れが良くなってくれることが願いですね」
ヴェスレイ・スナイデルがインテルのユニフォームを身に付けてプレーする姿を再び見ることはあるのでしょうか?
「スナイデルがスタメンの座に復帰するに相応しいと私を納得させてくれる可能性は十分あると確信しています。私はこれまで、スナイデルを誰よりも評価して尊敬してきた人間かも知れません。でも同時に、私は選手がそれに値すると見たらすべてを与えるけど、プレーする条件が揃っていないと見たら、きっぱりと出番を与えない監督です。ヴェスは、私のこのフランクな姿勢を受け入れてくれたと思うし、ストラマッチョーニの下でやる選手は誰もが受け入れるべきのことです。選手がプレーするに相応しいときは、私は誰よりもその選手を応援します。しかし、それに相応しくないと感じたときは、プレーさせません。私が選手だったら、これこそ監督から受けたい、最も公平な扱いだと思いますね。従って、スナイデルがスタメンとして試合に出るに値することを見せてくれれば、私はいつでも試合に出すつもりですよ」
インテルファンへはどういうメッセージを向けたいですか?
「インテルファンはこの数ヶ月間、すべての試合で信じられない勢いの応援で支えてくれたし、本当に感謝していますよ。それほど重要でもない試合なのに4万人のファンが駆けつけたことも印象的だったし、これだけインテルに対する愛情があるとはこれまで把握していませんでした。イタリア中、世界中にインテルファンがいることも驚きで、彼ら全員にお礼を言うしかないですね。チームを代表して、すべてのインテリスタにとって素晴らしい2013年になることを願っていると言わせてください。彼らと我々にとって、素晴らしい年にしたいです」
広報部