素晴らしきインテル、ありがとう!
僕の心はまだ動揺していますが、ファンの皆さんとこの"大いなる感動の小さな物語"を分かち合いたいと思いました。僕は14歳の時、大きな夢を抱いてミラノにやって来たのです。偉大なゴールキーパーになるという決意を胸に、最初はインテル下部組織の寮で暮らしていました。4年間をインテルのユースで過ごした後、経験を積むために様々なカテゴリーのリーグの様々なチームでプレーしました。でも、どこに行っても僕の思いは常にサン・シーロに向けられていたのです。子供のころ、あのピッチでボールボーイを努めながら、憧れのワルテル・ゼンガをよく直で見たものです。彼はクルヴァ出身の選手でしたが、試合前にそのクルヴァに挨拶する姿が特に印象的でした。
イタリア中のゴールマウスを守った後、7年前に古巣に呼び戻されたのです。最後の引っ越しを行ってインテルに戻るのは、実家に帰るような感じでした。今でもあの日を明確に覚えています。セリエBのあるクラブの本部を契約交渉のために訪れていたところ、インテルから電話がかかって来たのです。僕は『すみません、自分の行くべきところへ行くので………』と言い残してその場を去りました。
インテルで過ごした長年はいつまでも忘れられない、素晴らしい数年でした。並外れの選手たちで結成されたこのチームは、何回かのスクデットやコッパ・イタリア、スーパーカップ、チャンピオンズリーグ、クラブワールドカップといったタイトルを手にして、サッカー史に名を刻んだのです。
モラッティ会長とその素晴らしいご家族に感謝しております。
クラブフロントの皆さんに感謝しております。クラブ本部やアッピアーノ、スタジアムやインテルキャンパス、インテルクラブ総括本部や下部組織の"ファッケッティ"センターで働く、すべてのスタッフに感謝しています。
僕が重要な存在であると常に感じさせてくれたすべてのチームメートに感謝しております。これまでのすべての監督、コーチやトレーナー、コンビ医師、そして僕を長持ちさせてくれたマッサーやフィジオセラピストのみんなに感謝しています。
そして、インテリスタの皆さんに感謝しております。おかげさまで、僕の夢が叶いました。第2のワルテル・ゼンガにはなれなかったかも知れませんが、それでもサン・シーロのチャントで僕の名前は常に称えられるようになりました。皆さんの愛情に応えることが出来たことを願っております。僕は、ピッチでプレーすることに恵まれたひとりのサポーターである、ということを皆さんに伝えられたのなら嬉しいです。
ここで、僕の旅の前半が終了します。後半では、新たな夢に挑むつもりですが、それはGKコーチの役割を務めることです。一番大きな喜びは、自分の家であるインテルでそれが出来ることです。そうして、新しいキーパーにネラッズーリの一員であることがどれだけ恵まれたことなのか、毎日どれだけ尊重していくべきものなのかを語れることが出来ればと思っております。
いつまでも、フォルツァ・インテル!
パオロ・オルランドーニ